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2008.09.27 寒空の戯画
朝方振った雨も覚悟を決めた女の涙のようにスッキリと止み、雲の切れ間から太陽が笑顔を覗かせる。

「今日は寒いな・・・・」

無理に明るく笑っているような太陽を見上げ、オレはそう独り言を言いながらも、半そでのシャツにジャケットを羽織ることもせずクルマに乗り込んだ。

昨夜から調子の悪いガンメタルの117クーペは気だるそうにイグニッションキーに応える。

(もう好い加減寝かせてくれよ)
(いつまで走らせる気なんだ)

感度の鈍いアクセルを踏み込むたびに、オレに愚痴をこぼしている歳老いたアキレスの鼾のようなエンジンノイズが、街中に溶け込んでいく。
一昨日から徹夜続きの頭に響き渡る、ヒステリックな選挙カーの騒音に戸惑いながら、東へ東へと重たいハンドルを送り込むと「運上飯店」がそこにある。

「いらっしゃいませ~」
相変わらず元気の良い女将が出迎えてくれる。

「あ、いつもの」
「はい、いつものね~」
女将は笑いながら厨房に消えていった。


いつものやつとは「辛湯」と「刀削麺」のことだ。
とびきり辛く熱いコイツはオレの徹夜続きでイカレちまった中枢神経を奮い立たせる。

(よし、これを食ったらアイツのところに行こう)
ujht

ぼやけた頭の中で辛さが爆発する中、窓の外に目をやるとまた雨が降り出していた。
(よりによってこんな日に・・・)

ショボショボと降る雨は、泣き顔で出て行ったアイツの後姿を、思い起こさせるには充分な量だった。

続く。
(ワケガナイ)



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